文学その3

『青空文庫』にある作品を『Google Translate』で英訳してみました。

湖畔亭事件:江戸川 乱歩(1472-1534)/1770

「君は僕の鞄の中のものを見ましたか」

"Did you see anything in my cage?"

 そういって彼にじっと見つめられますと、何の恐れる所もない筈の私までが、多分まっ青になっていたことでしょう、動悸が早くなって、腋の下からタラタラと冷いものの流れるのを感じました。

When I stared at him, I would probably have been blue even though I was afraid of nothing, I felt the palpitating faster and the flow of taratara and cold things flowing from under the fence It was.

「見ました」

"saw"

 私は相手を興奮させない様に、出来るだけ低声で、然し本当のことを答える外はありませんでした。

】 I was as quiet as possible so as not to excite the other party, but there was no reason to answer the truth.

「不審に思いましたか」

"Did you feel suspicious?"

「不審に思いました」

“I was suspicious”

 そして暫く沈黙が続くのです。

And silence continues for a while.

「君は恋というもののねうちを御存じですか」

“Do you know the love story?”

「多分知っていると思います」

"Maybe you know"

 それはまるで学校の口頭試験か、法廷の訊問でありました。

It was like a school oral exam or a court question.

普通の際なれば、直にも吹き出してしまう所でしょうが、その滑稽な問答を、私達はまるで果し合いの様な真剣さで続けたものです。

If it is normal, it would be a place where it would be blown out directly, but we continued that humorous question and answer with a seriousness that seemed to end.

「それでは、恋のためのある過失、それはひょっとしたら犯罪であるかも知れません、少しも悪意のない男のそういう過失を、君は許すことが出来るでしょうか」

“Then, you can forgive some negligence for love, perhaps a crime, and the negligence of a man who is not malicious.”

「多分出来ます」

"Maybe you can"

 私は十分相手に安心を与える様な口調で答えました。

】 I answered in a tone that would give enough peace of mind to the other party.

私はその際も、河野に好意を感じこそすれ、決して反感は抱いていなかったのですから。

At that time, I was very happy with Kono.

「君はあの事件に関係があったのですか。

"Did you have anything to do with that incident?

もしや君こそ最も重要な役割を勤めたのではありませんか」

You may have played the most important role. ''

 私は思い切って尋ねました。

】 I asked with pride.

十中八九私の想像の誤っていないことを信じながら。

Ten thousand of the times while believing that my imagination was not wrong.

「そうかも知れません」河野の血走った目がまたたきもせず私を睨みつけていました。

“Maybe,” Kono's bloody eyes were staring at me.

「もしそうだとしたら君は警察に訴えますか」

“If yes, do you appeal to the police?”

「恐らくそんなことはしません」私は言下に答えました。

“Probably not,” I answered below.

「もうあの事件は落着してしまったのです。

“That incident has already settled down.

今更新しい犠牲者を出す必要がないではありませんか」

Isn't it necessary to send new victims now? "

「それでは」河野はいくらか安心したらしく「僕がある種の罪を犯したとしても、君はそれを君の胸だけに納めて置いて下さるでしょうか。

“Now, Kono feels somewhat relieved,“ If I commit some kind of sin, will you put it only in your chest?

そして、僕の鞄の中にあった妙な品物についても忘れてしまって下さるでしょうか」

And will you forget the strange items in my bag? "

「友達の間柄じゃありませんか。

"Isn't it a friendship?

誰だって自分の好きな友達を罪人にしたいものはありますまい」

No one wants to make their favorite friend a sinner. ''

 私は強いて軽い調子でいい放ちました。

】 I had a strong and light tone and it was fine.

事実それが私の本当の心持でもあったのです。

In fact, it was my true feeling.

 それを聞くと河野は永い間黙っていましたが、段々|渋面を作りながら、果ては泣かぬばかりの表情になって、こんな風に始めるのでした。

Listening to that, Kono had been silent for a long time, but gradually |

「僕は飛んでもないことをしてしまった。

“I did something that was n’t flying.

人を殺したのです。

He killed a person.

ほんの出来心からやりはじめた事が意外に大きくなってしまったのです。

What I began to do from the very beginning has grown unexpectedly.

僕はそれをどうすることも出来なかったのです。

I couldn't do anything about it.

それ位のことが分らないなんて、僕は何という愚者だったのでしょう。

What a fool I was that I didn't know that much?

恋に目がくらんだのです。

I was blinded in love.

実際魔がさしたのです」

It was actually a devil. ''

 河野にこうした弱々しい反面があろうとは、実に意外でした。

It was really surprising that Kono had such a weak side.

湖畔亭での河野と、今の彼と、何という相違でしょう。

What is the difference between Kono at Kohantei and his present?

妙なことですが、この河野の弱点を知ると、私は以前よりも一層、彼に好意を感じないではいられませんでした。

Oddly, when I knew Kono's weakness, I couldn't help but thank him more than before.

「では君が殺したのですね」

"So you killed?"

 私は茶話でもしている調子で、なるべく相手の心を痛めない様に問いかけました。

I asked him not to hurt the other party as much as possible.

「エエ、僕が殺したも同然です」

“Eh, I ’m killed.”

「同然というと」私は思わず不審を打ちました。

“Same,” I was suspicious.

「僕が直接手をかけて殺した訳ではないのです」

“I did n’t kill me by hand.”

 少し話が分らなくなって来ました。

Talk is a little confusing.

彼の手で殺したのでないとすると、あの鏡に映った男の手は、一体全体誰のものであったのでしょう。

If it wasn't killed by his hand, who belonged to the man's hand in that mirror was wholly?

「じゃ直接の下手人は」

"Then the direct bad guys"

「下手人なんてありません。

“There are no bad guys.

あいつは自分自身の過失で死んだのですから」

He died from his own negligence. ''

「過失といって……」ふと私は飛んでもない間違いに気づきました。

"Speaking of negligence ..." I suddenly noticed a mistake that didn't fly.

「ああ、君は三造のことをいっているのですか」

"Oh, are you talking about Sanzo"

「無論そうです」

“Of course it seems”

 その明瞭な返事を聞くと、私の頭は却て混乱して来ました。

Listening to the clear reply, my head was confused.

三十二

Thirty-two

「じゃ、君が殺した殺したといっているのは、あの三造のことだったのですか」

"Then it was that Sanzo that you said you killed?"

「そうですよ。

"That's right.

誰だと思っていたのです」

I thought it was who. ''

「いうまでもない、芸妓の長吉です。

“Needlessly, I ’m Nagayoshi, a geisha.

この事件には長吉の外に殺されたものはないじゃありませんか」

Isn't there anything killed outside Nagayoshi in this incident? ''

「ああ、そうそう、そうでしたね」

"Oh, yeah, that was right"

 私はあっけにとられて、河野の頓狂な顔を見つめました。

I was taken away and stared at Kono's crazy face.