文学その3

『青空文庫』にある作品を『Google Translate』で英訳してみました。

怪人二十面相:江戸川 乱歩(254-321)/3301

「おい、時間は?」

"Hey, how much time?"

 壮太郎氏の、うめくような声がたずねます。

Mr. Sotaro asks a moaning voice.

「十二時一分すぎです。」

“It ’s just over 12 minutes.”

「なに、一分すぎた?

"What did you do for a minute?

 ……アハハハ……、どうだ壮一、二十面相の予告状も、あてにならんじゃないか。

...... Ahahaha ... How about the notice of Soichi and Twenty Faces?

宝石はここにちゃんとあるぞ。

The gem is here.

なんの異状もないぞ。」

There is no abnormality. "

 壮太郎氏は、勝ちほこった気持で、大声に笑いました。

Sotaro laughed out loud with a feeling of victory.

しかし壮一君はニッコリともしません。

But Soichi doesn't smile.

「ぼくは信じられません。

"I can't believe it.

宝石には、はたして異状がないでしょうか。

Are there any abnormalities in jewels?

二十面相は違約なんかする男でしょうか。」

Is Twenty Faces a man who makes a penalty? "

「なにをいっているんだ。

“What are you talking about?

宝石は目の前にあるじゃないか。」

There is a jewel in front of you. "

「でも、それは箱です。」

“But that is a box.”

「すると、おまえは、箱だけがあって、中身のダイヤモンドがどうかしたとでもいうのか。」

"Then you just have a box and what about the diamonds inside?"

「たしかめてみたいのです。

“I want to see you.

たしかめるまでは安心できません。」

We can't rest assured until we check. "

 壮太郎氏は思わずたちあがって、赤銅の小箱を、両手でおさえつけました。

Mr. Sotaro came up unexpectedly and held the small bronze box with both hands.

壮一君も立ちあがりました。

Soichi also stood up.

ふたりの目が、ほとんど一分のあいだ、何か異様ににらみあったまま動きませんでした。

The eyes of the two didn't move for almost a minute, with something strangely staring.

「じゃ、あけてみよう。

"Let's open it.

そんなばかなことがあるはずはない。」

There should be no such idiots. "

 パチンと小箱のふたがひらかれたのです。

The lid of a snap and a small box was opened.

 と、同時に壮太郎氏の口から、

And at the same time from Sotaro's mouth,

「アッ。」

"Ah."

というさけび声が、ほとばしりました。

The salmon voice shouted.

 ないのです。

No.

黒ビロードの台座の上は、まったくからっぽなのです。

The black velvet pedestal is completely empty.

由緒深い二百万円のダイヤモンドは、まるで蒸発でもしたように消えうせていたのでした。

The venerable 2 million yen diamond was gone as if it had evaporated.

魔法使い

Witch

 しばらくのあいだ、ふたりともだまりこくって、青ざめた顔を、見あわせるばかりでしたが、やっと壮太郎氏は、さもいまいましそうに、

For a while, both of them just got stuck and looked out of their pale face, but finally Sotaro seemed to be right now,

「ふしぎだ。」

“Mysterious.”

と、つぶやきました。

I tweeted.

「ふしぎですね。」

“Mysterious.”

 壮一君も、おうむがえしに同じことをつぶやきました。

Soichi also murmured the same thing to Omagesushi.

しかし、みょうなことに、壮一君は、いっこうおどろいたり、心配したりしているようすがありません。

However, to my sight, Soichi is not surprised or worried.

くちびるのすみに、なんだかうす笑いのかげさえ見えます。

You can even see some laughing shadows in the lips.

「戸じまりに異状はないし、それに、だれかがはいってくれば、このわしの目にうつらぬはずはない。

“There is nothing wrong with the door, and if someone goes in, I can't go wrong with my eyes.

まさか、賊は幽霊のように、ドアのかぎ穴から出はいりしたわけではなかろうからね。」

No, the bandits didn't come out of the keyholes of the door like ghosts. "

「そうですとも、いくら二十面相でも、幽霊に化けることはできますまい。」

“Despite that, no matter how much you are, you can't turn into a ghost.”

「すると、この部屋にいて、ダイヤモンドに手をふれることができたものは、わしとおまえのほかにはないのだ。」

“Then no one else in this room could touch the diamonds except me and you.”

 壮太郎氏は、何かうたがわしげな表情で、じっとわが子の顔を見つめました。

Mr. Sotaro stared at the face of his child with a sly expression.

「そうです。

"That's right.

あなたかぼくのほかにはありません。」

There is no other than you. "

 壮一君のうす笑いがだんだんはっきりして、にこにこと笑いはじめたのです。

Souichi-kun's laughter gradually became clearer and began to laugh at him.

「おい、壮一、おまえ何を笑っているのだ。

"Hey, Soichi, what are you laughing about?

何がおかしいのだ。」

What is wrong? "

 壮太郎氏はハッとしたように、顔色をかえてどなりました。

Mr. Sotaro was surprised and changed his face.

「ぼくは賊の手なみに感心しているのですよ。

“I'm impressed with the hand of the bandits.

彼はやっぱりえらいですなあ。

After all he is great.

ちゃんと約束を守ったじゃありませんか。

Have you kept your promise properly?

十重二十重の警戒を、もののみごとに突破したじゃありませんか。」

Did you break through the vigilance of every single thing? "

「こら、よさんか。

"Oh, yo?

おまえはまた賊をほめあげている。

You are also praising the bandits.

つまり、賊に出しぬかれたわしの顔がおかしいとでもいうのか。」

In other words, is it true that my face that has been put out by the bandits is strange? "

「そうですよ。

"That's right.

あなたがそうして、うろたえているようすが、じつにゆかいなんですよ。」

It looks like you ’re angry, but it ’s really nice. "

 ああ、これが子たるものの父にたいすることばでしょうか。

Oh, is this a word for my father who is a child?

壮太郎氏はおこるよりも、あっけにとられてしまいました。

Mr. Sotaro was taken away rather than happening.

そして、今、目の前にニヤニヤ笑っている青年が、自分のむすこではなく、何かしら、えたいのしれない人間に見えてきました。

And now, the young man who grinned in front of me is now looking like a human who isn't wanting to do anything.

「壮一、そこを動くんじゃないぞ。」

“Soichi, you do n’t move there.”

 壮太郎氏は、こわい顔をしてむすこをにらみつけながら、呼びりんをおすために、部屋の一方の壁に近づこうとしました。

Mr. Sotaro tried to get close to one wall of the room to stare at Musuko with a scary face.

「羽柴さん、あなたこそ動いてはいけませんね。」

“Mr. Hashiba, you must not move.”

 おどろいたことには、子が父を羽柴さんと呼びました。

To my surprise, the child called his father Mr. Hashiba.

そして、ポケットから小型のピストルをとりだすと、その手をひくくわきにあてて、じっとおとうさんにねらいをさだめたではありませんか。

Then, when you took out a small pistol from your pocket, you might have struck your hand and started to aim for the dad.

顔はやっぱりニヤニヤと笑っているのです。

The face is still grinning.

 壮太郎氏は、ピストルを見ると、立ちすくんだまま、動けなくなりました。

Mr. Sotaro, when he saw the pistol, stood and was unable to move.