文学その3

『青空文庫』にある作品を『Google Translate』で英訳してみました。

怪人二十面相:江戸川 乱歩(569-615)/3301

車は門の中へ入れておきましたから、しらべて受けとってほしいんですがね。」

I had my car in the gate, so I'd like you to take a look at it. "

 秘書が、そのことを奥へ報告する。

The secretary reports to the back.

それっというので、主人の壮太郎氏や支配人の近藤老人が、玄関へかけだして、車をしらべてみますと、たしかに羽柴家の自動車にちがいありません。

Therefore, when Mr. Sotaro, the master, and Mr. Kondo, the manager, go to the entrance and look at the car, it must be the car of the Hashiba family.

しかし、中にはだれもいないのです。

But no one is inside.

壮二君はやっぱり誘かいされてしまったのです。

After all, Soji was invited.

「おや、こんなみょうな封筒が落ちていますよ。」

“Oh, this kind of envelope is falling.”

 近藤老人が、自動車のクッションの上から、一通の封書を拾いあげました。

Elder Kondo picked up a letter from a car cushion.

その表には「羽柴壮太郎殿必親展」と大きく書いてあるばかり、裏を見ても、差出人の名はありません。

The table says “Seitaro Hashiba's must-have exhibition” and there is no name of the sender.

「なんだろう。」

"I wonder what."

と、壮太郎氏が封をひらいて、庭に立ったまま読んでみますと、そこには左のようなおそろしいことばが書きつらねてあったのです。

So when Mr. Sotaro opened the seal and read it while standing in the garden, there was a terrible word like that on the left.

 昨夜はダイヤ六個たしかにちょうだいしました。

”I had 6 diamonds last night.

持ちかえって、見れば見るほどみごとな宝石、家宝としてたいせつに保存します。

Save it and save it as a jewel or heirloom as you see it.

 しかし、お礼はお礼として、少しおうらみがあるのです。

However, thankfulness is a little appreciation.

何者かが庭にわなをしかけておいて、ぼくの足に全治十日間の傷をおわせたことです。

Someone trapped in the garden and hurt my feet for 10 days.

ぼくは損害を賠償してもらう権利があります。

I have the right to compensate for the damage.

そのためにご子息壮二君を人質としてつれてかえりました。

For that reason, I returned the son Soji as a hostage.

 壮二君は今、拙宅のつめたい地下室にとじこめられて、暗やみの中でシクシク泣いております。

Soji-kun is now crying in the darkness in the basement where he wants to stay.

壮二君こそ、あののろわしいわなをしかけた本人です。

Soji is the person who made that damn trap.

これくらいのむくいは当然ではありますまいか。

Isn't it natural that this is the case?

 ところで、損害の賠償ですが、それには、ぼくはご所蔵の観世音像を要求します。

By the way, it is compensation for damages, but for that, I ask for the Kanzeon image of the collection.

 ぼくは昨日、はからずも貴家の美術室を拝見する光栄を得たのですが、そのりっぱさにおどろきいりました。

I was honored to see your art room yesterday, but I was very surprised.

中でもあの観世音像は、鎌倉期の彫刻、安阿弥の作と説明書きがありましたが、いかにも国宝にしたいほどのもの、美術ずきのぼくは、ほしくてほしくてたまりませんでした。

Above all, the Kanzeon statue had sculptures from Kamakura period, written by Asami, and explanations, but I wanted to make it a national treasure.

そのとき、どうあっても、この仏像だけはちょうだいしなければならないと、かたく決心したのです。

At that time, it was hard to determine that only this Buddha image would be necessary.

 ついては、今夜正十時、ぼくの部下のもの三名が、貴家に参上しますから、だまって美術室に通していただきたいのです。

About this time, three people from my subordinates will be at your home at 10 o'clock tonight, so I would like you to go to the art room.

彼らは観世音像だけを荷づくりして、トラックにつんで運びさる予定になっております。

They only plan to pack the Kanzeon image and carry it on a truck.

人質の壮二君は、仏像とひきかえに貴家へもどるようにはからいます。

Hostage Soji is coming back to your home in exchange for the Buddha statue.

約束は二十面相の名にかけてまちがいありません。

The promise must be in the name of the 20th aspect.

 このことを警察に知らせてはなりません。

Please do not inform the police about this.

また部下のトラックのあとをつけさせてはいけません。

Also, don't let the subordinates follow the track.

もしそういうことがあれば、壮二君は永久に帰らないものとおぼしめしください。

If so, please condemn that Souji will not return forever.

この申し出はかならずご承諾を得るものと信じますが、念のためご承諾のせつは、今夜だけ十時まで正門をあけはなっておいてください。

We believe that this offer will always be approved, but please keep the gate open until 10:00 only tonight just in case.

それを目じるしに参上することにいたします。

I will go to see it.

二十面相より

From the 20th aspect

羽柴壮太郎殿

Sotaro Hashiba

 なんという虫のよい要求でしょう。

What is the good demand of insects?

壮太郎氏はじめ、こぶしをにぎってくやしがりましたが、壮二君というかけがえのない人質をとられては、どうすることもできません。

Mr. Sotaro and the fist were squeezed, but if you take the irreplaceable hostage of Soji you can't do anything.

ざんねんながら、このむちゃな申し出に応ずるほかに手立てはないように思われます。

Unfortunately, there seems to be no other way besides responding to this messy offer.

 なお、賊にたのまれて自動車を運転してきた青年をとらえて、じゅうぶん詮議しましたけれど、彼はただ、いくらかお礼をもらってたのまれただけで、賊のことは何も知りませんでした。

Talking about the young man who was driving the car while being robbed by the bandit, he was fully debated, but he just received some gratitude and knew nothing about the bandit.

少年探偵

Boy detective

 青年運転手を帰すと、ただちに、主人の壮太郎氏夫妻、近藤老人、それに、学校の用務員さんに送られて、車をとばして帰ってきた早苗さんもくわわって、奥まった部屋に、善後処置の相談がひらかれました。

As soon as I returned the young driver, Mr. Sotaro and his husband, Mrs. Kondo, and Mr. Sanae, who was sent to the janitor of the school and skipped the car, got involved in the backroom. Consultation was opened.

もうぐずぐずしてはいられないのです。

I can't wait any longer.

十時といえば、八―九時間しかありません。

Ten o'clock is only eight to nine hours.

「ほかのものならばかまわない。

“Other things are fine.

ダイヤなぞお金さえ出せば手にはいるのだからね。

Because diamonds can get you if you give them money.

しかし、あの観世音像だけは、わしは、どうも手ばなしたくないのだ。

However, I don't want to do anything with that Kanzeon image.

ああいう国宝級の名作を、賊の手などにわたしては、日本の美術界のためにすまない。

Such a national treasure-class masterpiece in the hands of a bandit is sorry for the Japanese art world.

あの彫刻は、この家の美術室におさめてあるけど、けっしてわしの私有物ではないと思っているくらいだからね。」

That sculpture is in the art room of this house, but I don't think it is my private property. "